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「センスがないから売場が苦手」は間違いです。

「私にはセンスがないので売場づくりが苦手なんです。」

店長研修や売場改善の相談を受けると、よく聞く言葉です。

確かに魅力的な売場を見ると、

「この人はセンスがあるな」

と思うことがあります。

しかし、本当に売れる売場はセンスで作られているのでしょうか。

私はそうは思いません。

むしろ、売場づくりをセンスの問題にしてしまうことが、多くの店長を悩ませている原因だと思っています。

VMDの「V」だけを見ていませんか?

VMDはVisual Merchandisingの略です。

そのため、

「Visual=見た目」

ばかりに意識が向きがちです。

しかし、本来重要なのはVisualではなくMerchandisingです。

つまりMD(商品計画)です。

どの商品を売りたいのか。

なぜその商品を売りたいのか。

誰に提案したいのか。

まず商品計画があり、それをお客様に分かりやすく伝えるためにVMDがあります。

VMDはMDをビジュアル化する手段であって、目的ではありません。

売場づくりの目的は「売りたい商品を明確にすること

自己満足の売場になっていないか

売場改善でよく見かけるのが、

おしゃれだけど売れない売場

です。

例えば、

商品が多すぎて見つけにくい
きれいに並びすぎて触りにくい
POPがなくて違いが分からない

こうした売場は、見た目は美しいかもしれません。

しかしお客様からすると、

「見にくい」

「選びにくい」

「買いにくい」

状態になっています。

どれだけセンス良く見えても、お客様が商品にたどり着けなければ意味がありません。

売場は作品ではなく、販売のための仕組みです。

VMDの基本は3つだけ

私は売場づくりを考えるとき、

いつもこの3つを基準にしています。

見つけやすいか

お客様は目的の商品をすぐ発見できるか。

選びやすいか

色やサイズ、機能の違いを比較できるか。

買いやすいか

価格や特徴が分かり、購入を決断しやすいか。

この3つができていれば、売場は機能しています。

逆に言えば、この3つができていない売場は、どれだけおしゃれでも改善の余地があります。

売れる売場には必ず仮説がある

そして、もう一つ重要なのが仮説です。

お客様行動の仮説です。

売れる店長は、

売場を作る前に商品を考え、

商品を考える前にお客様を考えています。

例えば、母の日が近づいてきたとします。

売れない売場は、

ギフトになりそうな商品を集めて並べます。

売れる売場は、

「母の日ギフトを探している人は、何に悩んでいるのか」

を考えます。

  • 予算は3,000円くらいではないか

  • 何を選べばいいか迷っているのではないか

  • 実用的なものを探しているのではないか

という仮説を立てます。

すると、

「3,000円以内で贈れるギフト」

「人気ランキング」

「スタッフおすすめ」

などの提案が生まれます。

店長に必要なのはセンスではなく観察力

売場づくりが上手な店長は、センスがある人ではありません。

お客様をよく見ている人です。

どこで立ち止まったか。

何を手に取ったか。

なぜ戻したのか。

何を比較していたのか。

そんな行動を観察しながら仮説を立てています。

そして、

売場を変える。

結果を見る。

修正する。

また試す。

この繰り返しです。

売場づくりが苦手な人ほど、完成形から考えてしまう。

売場づくりが苦手な人には共通点があります。

それは、

「どんな売場にしよう」

から考えてしまうことです。

おしゃれな売場を作りたい。

きれいに見せたい。

他店みたいにディスプレイしたい。

完成形ばかりをイメージするので、何から手を付ければいいか分からなくなります。

だから手が止まります。

しかし、本来のVMDは逆です。

まず考えるべきは、

今、誰に何を売りたいのか

という仮説です。

売場づくりとは、商品を並べる作業ではありません。

仮説から生まれたストーリーを、お客様に伝わる形に翻訳する作業です。

だから最初に必要なのはセンスではなく、仮説なのです。

センスは後から身につくもの。

「でも、やっぱりセンスが必要なのでは?」

と思う人もいるかもしれません。

私はセンスとは、

知識量 × 編集力

だと考えています。

商品知識。

お客様の知識。

売場事例の知識。

トレンドの知識。

そうした知識が増えれば増えるほど、組み合わせの引き出しも増えていきます。

そして、その中から最適なものを選び、分かりやすく伝える力が編集力です。

つまりセンスは、生まれ持った才能ではありません。

経験を積みながら磨かれていくものです。

だから店長に必要なのは、

「センスがないから無理」

と考えることではなく、

お客様を観察し、

仮説を立て、

売場で検証することです。

その繰り返しの先に、結果としてセンスと呼ばれるものが育っていくのだと思います。

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