ECサイトにアクセスはあるのに、なかなか売上につながらない。
そんなとき、広告費を増やしたり、クーポンを発行したり、商品ページを修正したりしていませんか?
もちろん、こうした施策が効果を発揮することはあります。しかし、課題の原因を確かめずに施策を重ねても、期待した成果につながるとは限りません。
私がさまざまなECサイトを検証する中で、課題として挙がりやすいのが購入率の問題です。
アクセスを集めても、なかなか購入につながらない。そうした状況に対して、広告費を強化することで一時的に売上を伸ばしているケースもあります。
しかし、購入率の問題が解決されないままでは、安定した売上を維持できるとは限りません。実際に、広告で一定の売上を確保していたものの、広告の仕様変更などをきっかけに、売上が一気に落ち込むケースも見てきました。
広告による集客は重要です。ただ、それと同時に考えたいのが、訪問してくれたお客様が、なぜ購入に至るのか、あるいは購入に至らないのかということです。
この記事では、ECサイトの売上が伸びないときに確認したいポイントと、購入率を改善するための具体的な考え方を解説します。
1. ECサイトの売上が伸びないとき、まず購入までの流れを確認する
ECサイトの売上を改善するには、アクセス数だけでなく、購入率や客単価も含めて状況を把握する必要があります。
売上が伸びないからといって、必ずしも集客が不足しているとは限りません。
商品を探しにくい、商品一覧から商品ページに進まない、購入を判断するための情報が足りない、購入手続きで離脱してしまう。こうした問題があれば、アクセスを増やしても十分に売上につながらない可能性があります。
私自身、複数のECサイトを検証する中で、広告費を強化して一時的に売上を伸ばしている一方、サイト内の購入率に課題が残っているケースを見てきました。
広告によって集客できていることと、サイト自体が購入につながりやすい状態になっていることは、別の問題です。
まずは、お客様が商品を探してから購入を完了するまでの流れを整理し、どの段階に改善の余地があるのかを確認しましょう。
2. 商品を見つけやすいサイトになっているか?
最初に確認したいのは、お客様が欲しい商品にたどり着けているかどうかです。
実店舗であれば、店内を歩きながら商品を探したり、販売員に尋ねたりできます。一方、ECサイトでは、お客様自身がカテゴリーや検索機能を使って商品を探します。
例えば、次のような状態になっていないでしょうか。
- カテゴリーの分け方が分かりにくい
- 商品数が多く、どこから探せばよいか迷う
- サイト内検索で目的の商品が表示されない
- サイズやカラー、価格などで絞り込めない
- 商品名や商品情報が、お客様の検索する言葉と合っていない
こうした問題があると、お客様は商品を見つける前に離脱してしまう可能性があります。
ここでおすすめしたいのが、運営者自身がお客様の立場でサイトを操作してみることです。
カテゴリーをたどり、検索し、条件を絞り込んで商品を探してみる。普段は管理画面から商品を確認していても、実際のサイトを利用してみると、意外なところで引っかかるポイントが見つかることがあります。
また、お客様によって商品を探す基準は異なります。
アパレルであれば、商品カテゴリーから探す人もいれば、ブランド、カラー、価格、着用シーンなどを手がかりに探す人もいます。運営側が想定している探し方と、お客様が実際に商品を探す方法が一致しているとは限りません。
検索窓を設置するだけでなく、カテゴリー構成、メニュー、絞り込み機能、商品情報まで含めて、さまざまな探し方に対応できているかを見直しましょう。
3. 商品一覧から商品ページへ進んでもらえているか?
商品を見つけられるようになったら、次に確認したいのが商品一覧です。
商品一覧ページが見られているのに、商品ページへの遷移が少ない場合、一覧の見せ方に課題があるかもしれません。
確認したいのは、商品画像、商品名、価格、商品の並び順、一覧で比較できる情報などです。
商品画像を見ても特徴が伝わらない。商品名だけでは違いが分からない。商品数が多く、どれを選べばよいか迷ってしまう。
このような状態では、商品に興味を持ってもらう前に、次のページへ進む機会を逃してしまいます。
商品一覧は、商品を並べておくだけの場所ではありません。お客様が比較し、選び、詳しく見てみたいと思うための売場です。
小さな変更が、購入率の改善につながることもある
ECサイトの改善というと、広告費の増額や大幅なリニューアルなど、大きな施策をイメージするかもしれません。
しかし、実際には、細かな改善が成果につながることもあります。
例えば、商品一覧の価格表示の見せ方を変える、商品画像の順番を見直す、おすすめ商品にラベルを追加する。こうした小さな変更でも、お客様の商品選びを後押しできる可能性があります。
「そんなことで変わるのか」と思うような改善でも、実際に試してみると効果が見られることがあります。
大切なのは、すべてを一度に変えることではありません。まずは注力したい商品カテゴリーに絞り、できることから変更してみることです。
変更前後の数字を比較し、良い結果が得られた施策をほかの商品やカテゴリーにも展開していく。こうした積み重ねが、サイト全体の改善につながります。
4. 商品ページで購入を判断できる情報がそろっているか?
商品ページまで進んでいるのに、カートに入れる人が少ない場合は、購入判断に必要な情報が不足していないかを確認します。
アパレル商品であれば、次のような情報が判断材料になります。
- 素材や着心地
- サイズ感や着用イメージ
- コーディネートの提案
- 色やディテールの違い
- 価格に対する価値
- 送料や配送に関する情報
実店舗では、商品を手に取ったり、試着したり、販売員に質問したりできます。
ECサイトでは、こうした接客や体験を写真、説明文、サイズ情報、レビューなどで補う必要があります。
特に、商品が動いたときのシルエットや素材の質感、着用時の雰囲気などは、静止画だけでは伝わりにくい場合があります。商品やターゲットに応じて、ショート動画を活用することも検討したい施策です。
お客様が動画に慣れているからこそ、動画を加えること自体を目的にするのではなく、写真や文章では伝えきれない情報を補えているかという視点で考えます。
商品ページを見たお客様が購入を決められない理由は、必ずしも商品そのものにあるとは限りません。購入判断に必要な情報が足りない、あるいは必要な情報を見つけにくい可能性もあります。
5. 商品ページで離脱させず、次の選択肢を提案できているか?
商品ページを改善する際に、もう一つ考えたいのが、購入に至らなかったお客様に次の選択肢を提示できているかということです。
お客様が商品ページを訪れても、必ずしもその商品を購入するとは限りません。
色が希望と違う、価格が予算に合わない、サイズが見つからない。理由はさまざまです。
しかし、その商品が希望に合わなかったからといって、お客様が自店の商品を購入する可能性までなくなったわけではありません。
実店舗であれば、希望の商品がなかったときに、販売員が別の商品を提案したり、同じカテゴリーの商品を案内したりします。
ECサイトでも、同じように次の選択肢を提示することが大切です。
- 関連商品
- 色違いやサイズ違いの商品
- 同じカテゴリーの商品
- コーディネートに使える商品
- 価格帯や用途が近い商品
ZOZOの商品ページ改善で実感した、関連商品の重要性
前職では、ZOZOの商品ページに表示される関連商品の改善によって、CVR(購入率)の向上につなげた経験があります。
商品ページに訪れたお客様に、関連商品を通じて別の選択肢や新たな発見を提供する。こうした細かな工夫が、購入につながることを実感しました。
特に、商品ページなど一部の領域しか自由に調整できないモールでは、変更できる範囲を把握し、その中で改善できることに注力する必要があります。関連商品の見直しは、その一つです。
自社ECでも考え方は同じです。
お客様が商品ページから離れた後、別のサイトで商品を探し始めれば、再び自店に戻ってきてもらうには、広告や検索など、あらためて接点をつくる必要があります。
だからこそ、商品ページで購入に至らなかった場合にも、自店の別の商品を見てもらえる導線を用意しておきたいところです。
お客様を無理に引き留めるということではありません。希望に合う商品を見つけやすくし、選択肢を広げることで、サイト内での買い物を続けてもらえる可能性を高めるという考え方です。
6. カートに入れた後、購入を完了できているか?
商品をカートに入れているのに購入が完了しない場合は、購入手続きの途中に課題があるかもしれません。
例えば、次のようなケースです。
- 送料を確認して、想定より高いと感じた
- 希望する支払い方法が使えなかった
- 配送予定日が希望に合わなかった
- 入力項目が多く、手続きが面倒に感じた
- 会員登録が必要で、購入をためらった
この段階では、商品への関心はある程度高まっていると考えられます。それでも購入に至らないのであれば、購入を妨げている条件がないかを確認します。
送料と決済方法は、利益と購入率の両面から考える
EC運営で悩ましい課題の一つが送料です。
送料が高いと感じて購入をためらうお客様がいる一方、安易に送料無料の対象を広げれば、利益率に大きな影響を与える可能性があります。
送料を見直す際は、購入率だけで判断せず、客単価、粗利益、配送コストなども含めてシミュレーションし、慎重に検討することが重要です。
また、決済方法の選択肢も確認したいポイントです。
昨今の不正アクセスの急増で、個人情報の入力には慎重になっていく傾向は強くなっています。
オンラインでカード情報を入力することに不安を感じるお客様もいるため、利用者層や販売商品に応じて、どのような決済方法が適しているかを検討する必要があります。
ただし、決済方法を増やせば必ず購入率が上がるわけではありません。導入費用や手数料、運用負担も踏まえ、自店に合った方法を選ぶことが大切です。
カートへの追加数だけで安心せず、購入完了まで進んでいるかを確認しましょう。
7. アクセス解析で購入率の課題を見つける
ここまでの流れを整理すると、ECサイトで確認したい段階は次の6つです。
- 商品を探す
- 商品一覧を見る
- 商品ページを見る
- カートに入れる
- 購入手続きを進める
- 購入を完了する
それぞれの段階で、次のステップへ進んでいるかを確認します。
例えば、商品一覧から商品ページへの移動が少なければ、一覧の画像や商品名、価格、並び順などに注目します。
商品ページは見られているのにカートへの追加が少なければ、商品説明やサイズ情報、着用画像などを確認します。
カートに入っているのに購入完了が少なければ、送料や決済方法、購入手続きの分かりやすさなどを調べます。
ただし、数字だけで原因が確定するわけではありません。
同じ商品ページでも、流入元や閲覧している端末、商品カテゴリーによって状況が異なることがあります。必要に応じて商品別、流入元別、デバイス別に確認し、実際のページを見ながら原因の仮説を立てることが大切です。
数字から課題がありそうな場所を見つけ、実際のページを確認し、改善を行い、その後の変化を確かめる。この繰り返しが、ECサイトの改善につながります。
8. ECサイトの改善は、お客様目線でのサイトチェックから始まる
私が前職でマネジャーをしていた頃は、サイトチェックをスタッフのタスクとして組み込むようにしていました。
サイトの改善点を見つけるためには、数字を分析するだけでなく、実際にお客様の立場でサイトを利用してみることが重要だからです。
サイトは蜘蛛の巣状にすることが重要(WEBの語源もこの蜘蛛の巣)どこからでも希望のページに遷移できるような導線設計を考えましょう。
商品を探す。カテゴリーを移動する。商品一覧から商品ページを開く。別の商品も見てみる。そして、購入手続きを進めてみる。
こうした一連の行動を実際に試してみると、運営側からは気づきにくい問題が見つかることがあります。
これは、実店舗で売場をお客様目線で見直すことと同じです。
商品が見つけやすいか、比較しやすいか、選びやすいか。自分たちにとって当たり前になっている売場ほど、改めてお客様の目線で確認する必要があります。
サイトチェックを一度きりの作業にするのではなく、日々の運営業務に組み込むことで、小さな問題にも気づきやすくなります。
まとめ|ECサイトの売上改善は、購入につながらない原因を見つけることから
ECサイトの売上が伸びないとき、アクセス数だけを見て集客を強化するのではなく、購入までの流れを確認することが大切です。
商品が見つけにくければ、検索やカテゴリー構成を見直す。
商品一覧から商品ページに進まなければ、一覧の見せ方を改善する。
商品ページからカートに進まなければ、購入判断に必要な情報や関連商品の導線を見直す。
カートから購入が完了しなければ、送料や決済方法、購入手続きの障壁を確認する。
課題のある段階によって、取り組むべき施策は変わります。
広告による集客も、商品ページの改善も、送料や決済方法の見直しも、すべてはお客様に購入していただくための手段です。大切なのは、施策を増やすことではなく、課題に合った改善を選ぶことです。
EC店長に求められるのは、数字を報告することだけではなく、数字を根拠に次の行動を決めることです。
まずは、お客様が商品を見つけてから購入を完了するまでの流れを、一つずつ確認するところから始めてみましょう。
ECサイトの売上改善・運営支援について
株式会社SUNNYDAYWORKでは、ECサイトの構築だけでなく、運営状況の分析、商品ページや導線の改善、集客施策の見直しなど、日々の運営に寄り添った支援を行っています。
アクセスはあるのに売上につながらない、購入率を改善したい、広告費に頼りすぎないEC運営を目指したい。そのようなお悩みがありましたら、現在のサイトの状況を整理するところからご相談ください。

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