「きゅうり」を英語にすると、Cucumberです。
でも、八百屋さんに突然、
「Cucumber入荷しました!」
と書かれていたら、ちょっと違和感があります。
きゅうりは、きゅうりです。
もちろん、Cucumberという言葉が間違っているわけではありません。
ただ、日本で日本人にきゅうりを売るなら、
「きゅうり」って書いたほうが、わかりやすくない?
と思います。
ところが、アパレルになると、なぜかこういうことが起こります。
Tシャツ → T-SHIRT
シャツ → SHIRT
ワイドパンツ → WIDE PANTS
新作 → NEW ARRIVAL
もちろん、読めば意味はわかります。
でも、ここで考えたい。
「読める」と「検索できる」は、別じゃない?
「ワイドパンツが欲しい」と思った人が、Googleで検索するのは、
「ワイドパンツ レディース」
かもしれない。
「WIDE PANTS レディース」と検索するとは限りません。
ECサイトの中でも同じです。
お客様は、ブランド側がつけた言葉ではなく、自分が普段使っている言葉で商品を探すからです。
だから英語表記がすべて悪いわけではありません。
「おしゃれ」と「わかりやすい」は、同じではない
アパレルの仕事では、「おしゃれに見せる」ことがとても大切です。
写真
フォント
余白
商品名
コピー
すべてがブランドの世界観をつくります。
だから、ブランドらしく見せたい気持ちはよくわかります。
ただ、ECサイトにはもう一つ役割があります。
お客様が商品を探して、理解して、購入すること。
ここを忘れてしまうと、
「すごくおしゃれなのに、なぜか売れない」
ということが起こります。
ECサイトは、ファッション誌ではなく「売場」です
ここは、25年間アパレルの店頭に立ってきたからこそ、強く感じるところです。
ECサイトを見ていると、ときどき思うことがあります。
「これ、ファッション誌だったら最高なんだけどな」
写真はかっこいい。
モデルも素敵。
余白もきれい。
コピーもおしゃれ。
ブランドの世界観もしっかり伝わる。
でも、ECサイトはファッション誌ではありません。
商品を見てもらい、選んでもらい、買ってもらうための「売場」です。
店頭なら、お客様が商品を手に取った瞬間に、販売員が接客できます。
「リネン混ですよ」
「今の時期なら羽織りにも使えます」
「少しゆったりしたシルエットです」
「普段Mサイズなら、こちらがおすすめです」
「透け感はこれくらいです」
お客様が聞けば、その場で答えられます。
つまり、店頭では販売員が売場の情報を補っているわけです。
でも、ECには販売員がいません。
だから、
画像で伝える。
文章で伝える。
サイズ表で伝える。
着用写真で伝える。
お客様が店頭で聞きそうなことを、ページの中に用意しておく必要があります。
もちろん、ブランドの世界観は大切です。
でも、
「かっこよく見せること」と「買いやすい売場をつくること」は別の仕事です。
ファッション誌なら、世界観を楽しんでもらえばいい。
でもECなら、その先に、
「これ、欲しい」
と思ってもらい、
「これなら買える」
まで持っていかなければいけない。
だから私は、ECの商品ページを見るとき、
「かっこいいか?」だけではなく、
「この売場で、お客様はちゃんと買えるか?」
を見るようにしています。
商品写真が「おしゃれすぎる」問題
アパレルECでよくあるのが、商品写真はすごくおしゃれなのに、商品そのものがよくわからないというケースです。
モデルもかっこいい。
背景も素敵。
写真としては申し分ない。
ブランドの世界観もしっかり伝わる。
でも、
「で、この服の形はどうなっているの?」
となることがあります。
ここで大切なのは、
「見せる画像」と「売る画像」は役割が違う
ということです。
「見せる画像」は、ブランドの世界観や商品の雰囲気を伝えるもの。
一方、「売る画像」は、お客様が購入を判断するためのものです。
例えば、
-
全体のシルエットがわかる
-
前後の形がわかる
-
生地感がわかる
-
ディテールが確認できる
-
着用したときのサイズ感がわかる
-
コーディネートしたイメージがわかる
こうした情報が必要になります。
ファッション誌なら、1枚の写真で「かっこいい」と思ってもらえれば成立する。
でもECは売場です。
「かっこいい」だけでなく、「これなら自分にも着られそう」「これなら買っても大丈夫」と思ってもらう必要がある。
だから、ブランドの世界観を伝える写真も必要。
同時に、商品を理解してもらうための写真も必要。
どちらかではなく、両方を用意する。
それが、ECの商品画像では大切だと思います。
ECサイトは「販売員のいない店舗」
私は25年間、アパレルの店頭に立ってきました。
その後、EC事業にも携わり、現在はECサイトの運用・改善をご支援しています。
だから、商品ページを見るときに、いつも考えます。
「これ、店頭だったら販売員は何を説明するだろう?」
お客様が迷いそうなところはどこか。
何を質問するだろうか。
何がわからなくて購入をやめるだろうか。
ECサイトを、単に商品を並べる場所ではなく、
「販売員のいない店舗」
と考える。
そうすると、商品ページに必要なものが見えてきます。
せめて、併記してあげようよ
ECサイトは、おしゃれでいい。
ブランドらしくていい。
世界観があっていい。
もちろん、エルメスやルイ・ヴィトンのように、誰もが一目でわかるブランドなら話は別です。
ブランド名を見ただけで、「これはあのブランドだ」とわかる。
そのレベルまでブランドが確立しているのであれば、ブランドの世界観を全全開でわかりやすさは二の次のほうが、むしろいいのかもしれません。
でも、ここで一つ聞きたい。
皆さんのお店やブランドは、日本人なら誰でも知っているくらいの知名度ですか?
もし、そうでないのであれば、
「ブランドらしく見せること」だけを優先して、お客様にわかりにくくしてしまう必要はないと思います。
英語を使ってもいい。かっこいい商品名をつけてもいい。
でも、
せめて日本語も併記してあげようよ。
「NEW ARRIVAL|新着商品」
「STYLING|コーディネート」
「WIDE TROUSERS|ワイドパンツ」
そして、商品画像も、サイズも、素材も、着用感も。
お客様が一目で理解できる情報をきちんと置いておく。
店頭なら販売員が説明できます。ECでは、画像と文章そのものが販売員です。
だから大切なのは、
「ブランド側がどう見せたいか」ではなく、「お客様はどう見るのか」。
Cucumberでもいい。でも、日本で売るなら、
Cucumber|きゅうり
くらいは書いてあげようよ。
ブランドの世界観を守りながら、お客様にもちゃんと伝える。
私は、それがECにおける「おしゃれ」だと思っています。

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