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【現役アパレルスタッフへ】その接客では売れません。あなたの接客には「ストーリー」がありますか?

25年ほどアパレルの現場に立ち、現在は服飾専門学校で接客の授業を担当しています。

授業では、学生たちの接客ロールプレイングを指導しています。

ロールプレイングには、必ず「設定」があります。

例えば、

「20代の女性。仕事にも使える服を探している」

「今度ライブに行くので、いつもとは違う服を着たい」

「最近、同じような服ばかり買ってしまうので、少しイメージを変えたい」

など。

お客様の年齢やライフスタイル、来店目的、悩みなどを設定します。

そして、その設定をもとに、

「このお客様に、どう接客していくのか」

というストーリーを考えます。

これを見ていると、毎回いろいろな発見があります。

そして最近、特に気になることがあります。

それは、

「接客には、ストーリーが必要なのではないか」

ということです。

ロールプレイングには「設定」がある。では、実際の接客は?

ロールプレイングには、必ず設定があります。

「今日は仕事用のパンツを探している」

「週末のライブに着ていく服を探している」

「いつも同じような服ばかりなので、少し雰囲気を変えたい」

そんな設定をもとに、学生たちは接客のストーリーを考えます。

「このお客様なら、まず何を聞こう?」

「ここで、どんな商品を提案しよう?」

「試着してもらったら、次に何を伝えよう?」

そうやって、接客の流れを組み立てていきます。

これを見ていて、ふと思いました。

「あれ?これって、実際の接客でも同じじゃないか?」

もちろん、リアルなお客様には設定なんてありません。

だから販売員が、お客様の行動や言葉から、

「もしかしたら、こうなのでは?」

仮説を立てる

そこから質問して、反応を見て、また考える。

そして次の提案につなげる。

つまり、実際の接客では、

販売員自身が、お客様とのストーリーをその場で作っていく必要がある。

私は、ここが接客の面白さであり、販売員の腕の見せどころでもあると思っています。

「お客様に合わせる」だけでは、接客は進まない

最近の接客では、

「お客様に寄り添う」

「お客様の話をよく聞く」

「お客様のペースに合わせる」

ということが大切だと言われます。

もちろん、大切です。

私自身も、接客ではお客様をよく観察することが重要だと思っています。

ただし、ひとつ注意したい。

「お客様に合わせる」と「お客様まかせ」は違います。

ロールプレイングを見ていると、

「そうなんですね」

「わかります」

「なるほど」

「いいですね」

と、相槌を打つことはできる。

お客様の話もしっかり聞いている。

でも、その先に何もない。

お客様が話す。

販売員が相槌を打つ。

お客様がまた話す。

販売員がまた相槌を打つ。

気がつけば、会話は成立しているのに、接客が前に進んでいない。

私はこれを、

「相槌は上手だけど、接客ができていない状態」

だと思っています。

販売員には「仮説」が必要

では、どうすればいいのか。

私は、販売員が「仮説」を持つことが重要だと思っています。

例えば、お客様がパンツを手に取っている。

「パンツを探しているんだな」

で終わらせない。

「もしかしたら仕事用を探しているのかもしれない」

「普段と違うシルエットを探しているのかもしれない」

「手持ちのトップスに合うパンツを探しているのかもしれない」

いくつかの仮説を持ってみる。

そして、

「こちら、気になりました?」

と声をかける。

お客様が、

「仕事用ではなくて、普段使いで探しているんです」

と答えた。

そうしたら、最初の仮説を修正する。

「普段はどんなトップスに合わせることが多いですか?」

と聞いてみる。

「白いシャツをよく着ます」

という答えが返ってきた。

そこで、

「それなら、このパンツと合わせるといいと思います。いつもの白シャツでも、シルエットが変わるだけで雰囲気が変わりますよ」

と提案する。

これが、

仮説 → 質問 → 答え → 仮説の修正 → 提案

という流れです。

大切なのは、最初の仮説を当てることではありません。

仮説を持って、お客様との会話を前に進めること。

外れたら、修正すればいい。

だから「仮説」は、お客様を決めつけるためのものではありません。

次の一手を考えるためのものです。

接客は「購買ファネル」で考えるとわかりやすい

ここで、マーケティングで使われる「購買ファネル」を店舗接客にも当てはめてみます。

例えば、

認知

興味・関心

比較・検討

購入

という流れです。

店舗に入ってきたお客様が、最初から「購入」の段階にいるわけではありません。

まだ、

「なんとなく気になる」

という「興味」の段階かもしれない。

そこに、

「ご試着されますか?」

「こちら人気ですよ」

といきなり畳みかけても、早すぎるかもしれません。

まずは、

「どこが気になったのか」

を一緒に探る必要があります。

逆に、すでに試着して、

「これ、いいな」

となっているお客様に、いつまでも素材やブランドの説明を続けるのも違います。

この段階なら、

「手持ちの服とどう合わせるか」

「どんなシーンで着るか」

「この商品を選ぶメリットは何か」

という話に進めたほうがいい。

だから販売員は、

「今、このお客様は購買ファネルのどこにいるのか?」

を意識してみる。

そして、

「次のファネルへ進んでもらうために、今、自分は何をすればいいのか?」

を考える。

これが、接客のストーリーになるのだと思います。

「売る」のではなく、「次のステージへ進める」

販売員の仕事を、

商品を売ること

と考えると、最後のクロージングばかりが重要に見えてきます。

でも、

「お客様を次の購買ステージへ進めること」

と考えると、接客そのものが変わってきます。

まだ興味の段階なら、興味を深める。

理解の段階なら、自分に合う理由を伝える。

欲求が生まれてきたら、着用イメージを広げる。

迷っているなら、不安を解消する。

比較しているなら、選ぶための判断材料を渡す。

そして最後は、お客様自身が決める。

こう考えると、クロージングは「最後に無理やり背中を押す作業」ではなくなります。

そこまでのストーリーを積み重ねた結果として、購入というゴールにたどり着く。

そう考えたほうが、私は自然だと思います。

だから、一度「接客の台本」を作ってみる

「台本」と聞くと、

「そんなことをしたらマニュアル接客になる」

と思う人もいるでしょう。

でも、一度、自分の接客を台本にしてみることには意味があります。

セリフを一字一句決める必要はありません。

考えてほしいのは、

「このお客様を、どんなストーリーで購入まで連れていくのか」

です。

例えば、

「ファーストアプローチ」

「興味を確認する」

「仮説を立てる」

「質問して確認する」

「商品を提案する」

「試着してもらう」

「似合う理由を伝える」

「着用シーンをイメージしてもらう」

「不安や迷いを解消する」

「お客様自身に決めてもらう」

こんな大きな流れを作ってみる。

そしてロールプレイングをする。

すると、

「自分は質問ばかりしている」

「提案するタイミングが遅い」

「試着後に何を話せばいいかわからない」

「クロージングだけを意識している」

など、自分の接客のクセが見えてきます。

台本は、最終的には捨てればいい

もちろん、いつまでも台本通りに接客する必要はありません。

むしろ、最終的には台本から離れたほうがいい。

お客様は一人ひとり違います。

話すスピードも違えば、買い物の目的も違う。

すぐに決める人もいれば、じっくり考える人もいる。

だから、毎回同じ接客にはなりません。

でも、

「今、このお客様はどこにいるのか」

「次にどこへ進めたいのか」

というストーリーが頭に入っていれば、そこから自由に対応できます。

台本は、販売員を縛るものではありません。

むしろ、

自分の接客を自由にするための土台

になるのではないでしょうか。

売れないときは、「話し方」ではなく「ストーリー」を見直してみる

接客しているのに売れない。

そんなとき、

「もっと話さないと」

「もっと質問しないと」

「もっと商品知識を増やさないと」

と考える前に、一度、自分の接客を振り返ってみてください。

自分の接客には、ストーリーがあるだろうか?

お客様は今、購買ファネルのどこにいるのか?

自分は、そのお客様を次のステージへ進めるために、何をしているのか?

お客様の言葉に相槌を打つだけで終わっていないか?

自分なりの仮説を持って、次の提案を仕掛けているか?

接客は、お客様に合わせ続けることではありません。

お客様を置いていかずに、一緒に次のステージへ進んでいくこと。

そのためには、販売員側にも「こういうストーリーで接客してみよう」という設計が必要なのだと思います。

服飾専門学校でロールプレイングを指導していると、学生たちの接客から、私自身も多くのことを学びます。

そして、これは経験の浅い学生だけの話ではありません。

現役のアパレルスタッフにも、一度、自分の接客を「ストーリー」として見直してほしい。

「私は今、このお客様をどこに連れていこうとしているのか?」

この問いを持って接客するだけでも、いつもの接客は少し変わるはずです。

あなたの接客には、ストーリーがありますか?

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